英、EU離脱手続き遅延の可能性、VAT見直しにも影響

 

英高等法院の判決で

イギリスのロンドン高等法院は11月3日、英国がEU(EU)離脱手続きを正式に開始するためには議会の承認が必要になるとの判決を下した。英政府はこれを不服とし上訴しており、12月5~8日に英最高裁にて審理が実施される。判決は年明け以降になる見通し。

最高裁が高等法院の判断を支持した場合、メイ首相が予告していた来年3月末までの離脱通告は遅れる可能性がある。これに伴い、EU離脱に関する国民投票で論点になっていた付加価値税(VAT)の見直しについても、時期が遅くなる見込みだ。

イギリスのVAT

イギリスのVATの標準税率は20%であるが、EU加盟以前から0%だった食料品の多くや子ども服などは、加盟後も特例で非課税である。

これに対し、EU加盟後の1993年に導入された住宅向けのガス代や電気代のVAT税率は5%で、これには、EU指令(指令=EUの法源の一種)の定める最低税率を適用せざるを得なかったという経緯があった。

EU離脱とVAT

この例のように、イギリスのVAT税率は「EUに決められているもの」の一つとして、離脱派によってやり玉に挙げられていた。EU離脱すれば、VAT指令に従う必要がなくなるため、税率や免税の取扱いに関して、柔軟性が増す可能がある。

なお、関税とは異なり、付加価値税は内国税としての位置づけである。即ち、EUのVAT指令が反映されているとはいえ、VATを定めているは英国内法である。よって、EU離脱によりVAT関連規則が直ちに無効になる訳ではなく、規則の改正手続きが必要であることには注意が必要である。

リスボン条約第50条によれば、離脱手続きを開始してから、正式にEUを離脱するまで2年間かかることになっている。少なくともその期間が終わるまでは、イギリスのVATは、EUのVAT指令に従った税率で維持されることになる。

また、イギリスは2008年の金融危機後、一時期はVATの標準税率を引き下げたが、財政悪化を受けてすぐに20%に引き上げている例もあり、離脱派が主張するVAT減税が実現するかは不透明である。

▼外部リンク

Avalara VAT live
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