昨今、Amazonでは中国人セラーが日本のアマゾンでも世界のアマゾンでも活躍していると言われています。Amazonを主戦場として戦っているセラーの方からもよくそのような意見を聞きます。
そこで、ここでは最強の中国人セラーが生まれた背景を考えるとともに、これらの最強と呼ばれる中国人セラー対策を考えていきます。
製品の製造だけを委託されて、製品を作成する工場としての存在です。
日本企業が自国のAmazon市場で売れそうな物を中国企業に作らせて、それを自社が日本で売るというモデルです。
このモデルでは中国企業はあくまで薄利多売で製品をOEM製造するだけで、商品のデザイン等は考えないモデルでした。
フェーズ1と異なり、中国企業は他社から要求される製品ではなく、自社で独自の製品を製造するようになります。
例えば、iPhoneケースやバッテリー等、需要がありそうなものであれば、今までは日本企業がデザインしていたものを、中国企業が自社でデザインして自社ブランドとして売るようになりました。もちろんそのためにはこれらの中国企業も日本企業や欧米企業がデザインする最新式の製品を勉強し、自社では更に改善された製品を作るようになります。
ただしあくまでも製造がメインであり、自社が越境EC販売を中心に売るというモデルではありませんでした。
フェーズ2から更に向上し、自社で製造した製品を自社のECアカウント(Amazon,、eBay、楽天等)で売るようになります。ただでさえ低価格で高品質な製品を欧米諸国や日本のAmazonで販売するので、非常に強力です。
また、日本語のページ等も日本人が文章を書いており、一見海外の企業とは分からない状態となっています。
加えて、悪質なセラーの場合、競合する日本企業のアカウントに対して悪いレビューを付けまくります。この結果、Amazon内のサイトでも中国人セラー・中国企業セラーの商品が上位表示されます。
また、Amazon内の上位表示は、Googleでも上位表示されるため、必然的に中国企業がどんどん売れるようになってきます。
中国人セラーは日本のAmazonだけでなく、世界のAmazonでも活躍しています。
この理由は明白で、中国人セラー・中国企業セラーは安く仕入れて(あるいは安く製造して)、現地企業よりも低価格で売っているからです。
同時に、中国人セラー・中国企業セラーの方は、「働き方改革」を気にする日本人の人とは違い、何時間も時間を掛けているのかもしれません。それもそのはず、日本では起業する人自体が少ないのに対して、中国では起業する人も多く、また起業すること自体も尊敬されます。また、自国をあまり信用していないのか、他の国に移住することも多くあります。
日本人は北朝鮮の次に、世界で最も移住しない国民だと何かの統計でありましたが、中国人はこの逆です。この結果、中国人は世界でビジネスを成功し、各国で中国人コミュニティを作るようになりました。
このような国民性ですから、売上は拡大するも、現地企業との摩擦はありました。
その一つが英国でのAmazon販売です。英国AmazonのFBA倉庫からの販売の場合、英国にてVAT登録と定期的なVAT申告が必要となります。しかし、これらのVAT登録を行わないで、英国FBA倉庫を利用して英国人に販売していました。
ただでさえ中国から低価格商品がAmazonで販売されているにも関わらず、更に英国VAT分の20%も納税しないのであれば更にコスト削減となります。この結果、英国企業で真面目にVAT登録を行っている企業はアンフェアであると思うようになりました。
このため、このような声に答えるべく、英国税務当局もたとえ非居住企業であっても現地VAT番号を取得すべきだというアナウンスを行うようになりました。この傾向は英国のみならずその他の欧州連合のAmazon倉庫のある国でも同様の扱いになるようになりました。
この記事は日本語で書かれているため、読んでいる方は日本人の方が多いと思います。
この記事に書かれているようなことをAmazonでのEC販売専門のコンサルタントの方や、Amazonでのパワーセラーさんに聞いてみても、「中国人セラー・中国企業セラーには勝てない」と言っています。
私どもはそのような意見についてコメントは差し控えますが、上記のような強みを持つとされているのであれば中国系セラーは恐らく強いのだと思います。
今までは”せどらー(せどりを行う個人)”が副業で始めていたようなAmazon販売も、今では企業が本腰を入れて対応しなければ勝てないようになっています。中国は既に世界第二位のGDP国で日本の3倍ほどと圧倒的な国力を有しています。
中国人セラー・中国企業セラーと競争しても勝てるような体制を日本企業は構築する必要があるのではないかと思います。
すなわち、せどりだけで勝てた時代から、企業として勝つための戦略を考えなくてはいけないステージになったのかと思います。いずれにせよ、日本企業はこれらの中国人セラー・中国企業セラーの活躍の良い面を評価し、自社でも良い点を真似るような努力が必要であろうと思われます。
(本稿において、中国人セラー・中国企業セラーの特徴については、あくまでも記者が複数のソースにヒアリングした内容に基づいた記者個人の意見であり、オプティ株式会社としての意見ではありません。予めご了承ください。)