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米国にて2017年10月17日まで売上税の租税特赦

作成者: オプティ株式会社|17/09/12 7:48

(上図:Wikipediaより)

Sales Tax(売上税)とは?

現在、米国では日本の消費税や欧州の付加価値税同様の間接税として、Sales Tax (売上税)が存在しています。州毎の独立自治を認めている米国では、州により法律が異なることは一般的なことであり、同様に州によって税の税率が異なっていることも一般的です。このため、税の一つの種類であるSales Tax(売上税)の税率も州により大幅に異なります。

なお、売上税は州による規定の他、郡や特別区等で異なる規定があり、これらを全て含めると7000種類ものJurisdiction(管轄区)があると言われています。

このため、自社のビジネスがどのように行われているかによって、どの州で売上税を登録し、どの州で売上税を課税しなければいけないかを事前にスタディすることが必要です。

 

Amazon Sellerのケース

最近、問題となっているケースが、米国以外の企業や個人が米AmazonでFBA倉庫を利用して販売しているケースです。

日本からアメリカのAmazon.comへの販売については、「Amazon輸出」などと呼ばれ、当初は個人を中心としてその流れが加速しました。また、巷には「Amazon塾」のような私塾も現れ、海外のAmazonを使っての物品販売についてのノウハウ(販売方法、仕入方法、システムへの入力方法など)を提供していました。

また、FBAとは、Fulfillment by Amazonの略で、Amazon.comの指定する倉庫(FBA倉庫)に販売する商品を輸送すれば、後は受注時の配送や対応等をAmazon.com側が対応するサービスとなります。

問題は、FBA倉庫を利用し、Amazon.comにて物品販売を行う場合、現地の売上税登録及び売上税の課税・徴収・納付を行う必要が発生するということです。しかし現実問題として、これらの売上税登録は「分かっていても対応していない」ような企業が多発しました。特に日本からAmazon輸出として商品を販売しているセラーについて考えても、個人や数名規模の会社の場合が多く、遵法意識が弱い点が指摘されています。

実際、当社でも欧州のVAT登録や米国の売上税登録を支援していますが、クライアントから「売上が立っていないので税登録や税申告は控えたい」「売上が立っていないので登録代の支払いが厳しい」という要望はよく耳にします。
しかし、売上が立っていないので税登録を行わないということは、やはり少しおかしいと思われます。学習塾の例で考えると、「学習塾に入ったけど、成績が上がらないと月謝は払わない」「成績が上がるまでは学習塾をモグリで授業を受けているけど、成績が上がったら正式に登録する」ということで明らかに遵法意識が低いと言わざるを得ないです。
しかし逆に後に税務当局から税支払いの依頼が来たり、Amazonアカウントの凍結が起こる段になって、最後に当社のような専門家のところに駆け込んでくる例も多くあります。

昨今、AmazonやEbayを始めとして、ECサイトを使っての物品販売が興隆する中、適切に税が申告・納付されていないという指摘が以前よりありました。

そこで、2017年9月1日、MTC(米国多州間税委員会)では、売上税登録・申告を本来行わなくてはいけない企業が、自発的に開示した場合、過去の売上税やペナルティ、金利、及び税を放棄するという非常に優遇的な措置(租税特赦)を発表しました。

なお、当該デッドラインは2017年10月17日までの登録分となります。

 

租税特赦の対象州

現在米国では51州の内、45州にて売上税が採用されています。

その中で、当該租税特赦を受けることができる州は下記の24州となっています。

  • アラバマ州
  • アーカンサス州
  • コロラド州
  • コネチカット州
  • コロンビア特別区
  • フロリダ州
  • アイダホ州
  • アイオワ州
  • カンサス州
  • ケンタッキー州
  • ルイジアナ州
  • マサチューセッツ州
  • ミネソタ州
  • ミズーリ州
  • ネブラスカ州
  • ニュージャージー州
  • ノースカロライナ州
  • オクラホマ州
  • サウスダコタ州
  • テネシー州
  • テキサス州
  • ユタ州
  • バーモント州
  • ウィスコンシン州

なお、当該特赦は特段Amazonセラーだけに限られた話では無く、全ての企業で売上税登録を行っておらず、且つ売上税登録や申告が本来必要とされている企業が対象となります。

売上税の対象(米国FBA倉庫利用)

今回の租税特赦については、売上税の登録が必要なケースが該当します。それでは売上税がどのようなケースで登録が必要となるのでしょうか。

例えば下記のようなケースでは一般的に売上税登録が必要となります。(州毎に規定が異なりますが、一般的な内容となります。)

  • FBA倉庫でカリフォルニア州とテキサス州に自社の在庫を保管している
    →カリフォルニア州とテキサス州にて売上税登録が必要。

このため、FBA倉庫や、その他Amazon以外の倉庫を利用して自社商品を販売目的で米国に保管している企業は売上税の登録の必要性があります。

Amazonでは、ある州の倉庫に商品を保管していたとしても、Amazon側の理由で商品を移動することがあります。これは、全米各地の消費者が短時間で商品を受け取ることが出来るように、西海岸と東海岸と中西部に商品在庫をあえてバラけています。

しかしこのような場合、1つの州だけではなく、複数の州での売上税登録が必要となりますので、この点は注意が必要です。

租税特赦の対象(米国FBA倉庫利用)

租税特赦の方法については、下記の通りとなります。

  1. どの州で売上税登録をすべきかを確認する。
    (*)通常自社では複雑すぎるため、当社やその他専門家に確認されることをおすすめします。
  2. 特赦の適用のある州か確認する。
  3. 売上税登録の準備を行う。
    (*)当社やその他専門家に売上税登録は依頼されることをおすすめします。
  4. 売上税登録を申請する。その際、租税特赦についても税務署に説明しておく。
  5. 売上税登録が終了する。
  6. 以降売上税の申告を行う。

売上税登録に関しては自社で対応することは非常に手間が掛かりますので専門家に依頼することをおすすめします。

(参照)当社サービス 売上税登録

(参照)ペイオニアセミナー