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EPR(拡大生産者責任)とは?

近年、環境問題への関心が高まる中、製品のライフサイクル全体における環境負荷を低減するための政策として、**拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)**が注目されています。特に、EU加盟国ではEPRに基づく規制が強化されており、製品をEU市場に投入する企業にとって、これらの規制を理解し、適切に対応することが求められています。この記事では、EPRの概要を各国の状況を含めて説明いたします。

1、EPR(拡大生産者責任/Extended Producer Responsibility)とは?

EPRとは、生産者が製品の設計・製造・使用段階だけでなく、消費後の廃棄やリサイクル段階に至るまで責任を負うという考え方です。

この概念は、1990年にスウェーデンの研究者トーマス・リンクヴィスト博士によって提唱され、以降、多くの国で廃棄物管理政策の基盤として採用されています。
EPRの主な目的は、以下の通りです:
  • 廃棄物の削減:製品の設計段階から廃棄物の発生を抑制し、環境負荷を低減します。

  • リサイクルの促進:製品の回収・再利用を促進し、資源の有効活用を図ります。

  • 生産者の責任強化:生産者に対し、製品の全ライフサイクルにおける環境影響への責任を持たせ、持続可能な製品開発を促します。

2、EU加盟国におけるEPRの規制状況

EUでは、EPRに基づくさまざまな指令や規制が制定されており、加盟国ごとに具体的な実施方法や要件が異なります。主な規制として、以下のものがあります:

  1. WEEE指令(廃電気電子機器指令):電気・電子機器の廃棄物管理に関する指令で、生産者に対し、製品の回収・リサイクルの責任を課しています。

  2. 包装廃棄物指令:包装材の回収・リサイクルに関する指令で、生産者や輸入業者に対し、包装材のリサイクル義務を課しています。

  3. 電池指令:電池および廃電池の管理に関する規制で、生産者に対し、電池の回収・リサイクルおよび情報提供の義務を課しています。

これらの指令に基づき、各加盟国は独自のEPR制度を導入しており、具体的な要件や手続きは国によって異なります。そのため、EU市場で製品を販売する企業は、対象となる国の規制を詳細に確認し、適切な対応を行うことが重要です。

各国ごとに、具体的に求められる対応が異なります。

3、各国別のEPR取り組み事例

EU加盟国では、EPRの実施方法や重点分野が国によって異なります。以下に、いくつかの国の具体的な取り組み事例を紹介します。

  1. ドイツ

    ドイツは、EPRの先進国として知られ、1991年に「デュアルシステム」を導入しました。これは、製品の包装材に「グリーンドット」マークを付け、生産者がリサイクル費用を負担する仕組みです。このシステムにより、包装材のリサイクル率が大幅に向上しました。

  2. フランス

    フランスでは、EPRの適用範囲を広げ、家具や医療機器、玩具など多岐にわたる製品に対してEPR制度を導入しています。特に、繊維製品に関しては、生産者に対し、製品の回収とリサイクルの責任を課しています。

  3. スウェーデン

    EPRの概念を提唱したスウェーデンでは、紙製品や電気電子機器、バッテリーなどに対してEPR制度を適用しています。特に、電子機器のリサイクルに関しては、高い回収率を達成しています。

  4. イギリス

    イギリスでは、包装材や電気電子機器、バッテリーなどに対してEPR制度を導入しています。また、近年ではプラスチック廃棄物の削減を目的とした新たなEPR規制の導入を検討しています。


まとめ

EPRは、生産者に製品の全ライフサイクルにおける環境責任を負わせることで、廃棄物の削減やリサイクルの促進を目指す政策です。EU加盟国では、EPRに基づくさまざまな規制が導入されており、製品をEU市場に投入する企業は、各国の規制を理解し、適切に対応することが求められます。これにより、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献することが可能となります。

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注記: このコラムは情報提供を目的としたものであり、法的助言を提供するものではありません。EPRまたはGPSRへの準拠については、専門家にご相談ください。