ポルトガル(PT)

国名:ポルトガル共和国

(Portuguese Republic)

2012年4月現在

一般事情

1.面積

91,985平方キロメートル(日本の約4分の1)

2.人口

約1,056万人

(2011年,国立統計院)

3.首都

リスボン市(人口: 約47万人)

(2011年,国立統計院)

4.言語

ポルトガル語

5.宗教

カトリック教徒が圧倒的多数

6.国祭日

6月10日(ポルトガルの日,大詩人カモンイス逝去の日)

7.略史

年月 略史
1143年 ポルトガルの建国
1580年 スペインとの同君連合
1640年 スペインより独立(王政復古)
1910年 王政終焉、ポルトガル共和国成立
1932年 サラザール政権(〜1968年),カエターノ政権(1968年〜1974年)
1949年 NATO加盟
1955年 国連加盟
1974年4月25日 カーネーション革命(民主化)
1986年 EC(後にEUに発展)に加盟
1996年 ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)に加盟(同年に設立。本部リスボン)

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

アニーバル・アントーニオ・カヴァコ・シルヴァ大統領

(An?bal Ant?nio Cavaco Silva)

(2011年3月再任、任期5年)

3.議会

1院制 230議席、任期4年

4.政府

社会民主党政権(2011年6月〜)

(1)首相名 ペドロ・パッソス・コエーリョ(Pedro Passos Coelho)

(2)外相名 パウロ・ポルタス(Paulo Portas)

5.内政

ソクラテス前首相の辞意表明によりカヴァコ・シルヴァ大統領が議会を解散し,2011年6月5日,総選挙が実施された。その結果,最大野党(当時) 社会民主党(PSD)が勝利を収めるも,議席数で過半数には届かず,安定政権確保のため第3党の民衆党(CDS/PP)と連立政権を樹立した。コエーリョ 新政権は財政危機克服に向け,前政権と欧州委員会(EC),欧州中央銀行(ECB),国際通貨基金(IMF)の間で金融支援の条件として合意に至ったトロ イカ合意(MoU)に加え,財政赤字目標の達成をより確実とするため同合意よりもさらに踏み込んだ緊縮政策・構造改革実施を表明。同年11月,2012年 度予算案が議会で承認されるも,トロイカ合意よりも厳しい内容を含むことから社会党(PS)を中心とした野党からは批判が相次いだ。2012年1月,労働 市場改革案に関し,政労使三者間で合意に達した。国会運営共に今後の国民の抗議行動等,社会状況にも注目が集まる。

外交・国防

1.外交基本方針等

(1)EU統合への積極的参加(2007年後半,EU議長国を務め,同時期,リスボン条約が署名された。)

(2)現下の経済・財政危機克服に向けて,在外公館網の再編成,AICEP(ポルトガル投資貿易振興庁)を外務省管轄下に置くなど,輸出促進,外国投資誘致等を目指した経済外交を全面に打ち出している。

(3)ポルトガル語圏諸国共同体(CPLP)(ブラジル,アンゴラ,カーボ・ヴェルデ,ギニア・ビサウ,モザンビーク,サントメ・プリンシペ,東ティモール)を通じてのポルトガル語圏諸国との連携強化。ポルトガル語の国際語化を目指す。

(4)大西洋同盟(NATO,対米関係:NATO原加盟国,2010年11月にはNATO首脳会合を主催,米国との間でラージェス空軍基地使用に関する協定を結んでいる。)

(5)2010年10月に実施された国連安全保障理事会非常任理事国選挙に立候補し,2011年〜2012年の非常任理事国に選出された。

2.軍事力(ミリタリーバランス)

(1)予算 約20億200万ユーロ(2011年国防省予算)

(2)兵役 2004年11月から完全志願兵制に移行した。

(3)兵力 陸軍25,701人,海軍9715人,空軍7,218人

3.ポルトガルによる対外援助実施状況

(1)二国間援助 2億9,904万ユーロ

(2)多数国間援助 1億9,092万ユーロ

計 4億8,996万ユーロ(対GDP比0.23%)

(1991年12月,OECD開発援助委員会(DAC)に加盟)

(出典:葡開発援助庁、2010年)

経済

1.主要産業

製造業(機械類、衣類、コルク製造)及び観光業等

2.GDP

約1,712億ユーロ(2011年)(IMF)

3.一人当たりGDP

約16,065ユーロ(2011年)(IMF)

4.経済成長率

2008年 2009年 2010年 2011年
経済成長率(%、IMF) 0.0% -2.5% 1.3% -2.1%

5.物価上昇率

2008年 2009年 2010年 2011年
物価上昇率(%、IMF) 0.8% -1.4% 2.2% 3.2%

6.失業率

2008年 2009年 2010年 2011年
失業率(%、IMF) 8.5% 10.6% 12.0% 12.2%

7.総貿易額(UN Comtrade)

(1)輸出 488億ドル(2010年)

(2)輸入 752億ドル(2010年)

8.主要貿易品目(UN Comtrade)

(1)輸出 機械,輸送機器・部品,石油製品,鉱物,化学品,食料品・衣料品

(2)輸入 石油,輸送機器・部品,医薬品,通信機器

9.主要貿易相手国(2011年,ポルトガル投資貿易振興庁)

(1)輸出 西,独,仏,アンゴラ,英,蘭(対EU約74.1%)

(2)輸入 西,独,仏,伊,蘭,英(対EU約73%)

10.通貨

ユーロ

11.経済概要

(1)従来からEU依存型の経済で,貿易・投資ともにEUとの結びつきが強い(輸出74.1%,輸入73.0%,対ポルトガル直接投資約 90.6%)。EU依存の輸出構造転換のため,アンゴラ等の石油産出国への輸出拡大を図る。また,コエーリョ政権の下,AICEP(ポルトガル投資貿易振 興庁)を従来の経済革新開発省(現経済・雇用省)管轄から外務省管轄下とし,在外公館と連携して経済外交を推進。

(2)90年代半ば以降,ユーロ第一陣参加に向けた経済運営及びリスボン国際博(EXPO98)の際のインフラ整備による経済効果等を背景に,欧州 平均を上回る(対前年比で4%近い)高い成長率を維持してきたが,2001年以降2003年まで急速に減速。その後,EUにおける好景気の影響 で,2006年以降の経済成長率は1%台まで回復してきたが,スペイン等の景気後退の影響を受け,2008年から景気は後退。世界経済危機の影響を受け景 気後退が更に加速化。

(3)ソクラテス前社会党(PS)政権時代の2010年,本格的な財政赤字削減への取り組みを開始,公務員の人件費抑制,社会保障給付の見直し等の 安定成長プログラム(PEC)を発表。しかし,4回目の同プログラム改定案が国会で否決されたことを受け,首相は辞任を表明し,2011年4月6日には欧 州委員会(EC)に対して財政支援を要請する旨発表した。

(4)2011年5月5日,ポルトガル政府が欧州委員会(EC),欧州中央銀行(ECB),国際通貨基金(IMF)と合意した財政健全化プログラム のもと,今後3年間で総額780億ユーロの融資を受けることが決定した。2011年8月,同11月,本年2月に各々実施されたトロイカ調査団による四半期 定期レビューにおいて,政府は肯定的な評価を得ており,1月末現在で約395億ユーロを受領済み。4月にはさらに約149億ユーロの融資が行われる予定。

(5)2011年の財政赤字(対GDP比)については,公共交通料金の値上げ,付加価値税(IVA)の一部対象品目の税率引き上げの他,銀行年金基 金の社会保障費への移転等を行い,目標値5.9%を大幅に下回る4.0%となる見込みであるが,引き続き,政府は労働市場改革や地方行政改革を始めとする 構造改革を推進させ,本年の財政赤字(対GDP比)目標4.5%の達成を目指す。

(6)2012年に実施される財政緊縮策の主な内容は,月収1100ユーロ以上の公営企業職員を含む公務員及び年金受給者の夏季・クリスマス休暇手 当の廃止(2013年まで),各種診察に係わる自己負担額の大幅引き上げ,付加価値税の軽減税率(6%)及び中間税率(13%)対象品目の税率引き上げ (例:飲食店・レストラン13%→23%,文化的興業(映画,劇場等)6%→13%),医療・教育分野における個人所得税の税率上位2段階(6万6000 ユーロ以上)の控除廃止等。

二国間関係

1.政治関係

(1)天皇皇后両陛下・皇太子殿下御訪問

天皇皇后両陛下は1998年5月の英国,デンマーク御訪問の途次にポルトガルにお立ち寄りになり,リスボン国際博覧会を御視察になった(「日本館」 での昭和天皇の貝のコレクション展示等)。また,2004年5月,皇太子殿下がポルトガルを公式訪問され,首都リスボンの他,コインブラ,ポルトも訪問さ れた。

(2)その他要人往来(肩書きは当時)

2002年1月,田中外務大臣は我が国外相として初めてポルトガルを訪問し,ガマ外相との会談,サンパイオ大統領及びグテーレス首相への表敬を行っ た。また,2004年4月,ゴウヴェイア外務大臣が我が国を訪問し,川口外務大臣との会談を行ったほか,2005年5月には,サンパイオ大統領夫妻が, 愛・地球博ポルトガル・ナショナルデー(5月24日)に出席するために訪日し,小泉総理との会談を行った。2006年3月のカヴァコ・シルヴァ大統領就任 式には山口特派大使が出席した。2007年2月には,アマード外務大臣が訪日し,麻生大臣と会談を行い,政策協議に関する覚書に署名した。

(3)議員交流

日葡友好議員連盟(会長:谷垣禎一議員)は1985年発足。葡日友好議員連盟(会長:ジョルジ・コスタ議員)は2010年発足し、両国の友好議連を中心とした議員交流が行われているが、2011年3月、議会解散のため一旦解散している。なお、2008年3月には参議院招待によりガマ国会議長が訪日した。

※ポルトガル側友好議連は総選挙の度に解散・結成される。

(4)2010年修好150周年

1860年8月3日の日・ポルトガル修好通商条約調印により,両国の外交関係が開設された。2010年は修好150周年を記念して,在ポルトガル日 本国大使館を中心に,文化事業や記念切手の発行,海上自衛隊及びポルトガル海軍の練習艦の相互訪問など,多岐に亘る記念行事が行われ,両国間の友好の歴史 が再認識された。11月には伴野外務副大臣がポルトガルを訪問し,ポルトで開催された日本文化紹介イベント「ジャパンウィーク」に出席した。

2.経済関係

1.?貿易:?貿易収支はポルトガル側の出超(35億円)(対日輸出401億円,対ポ輸出366億円(2010年))。

(1)主要対日輸出品目:乗用自動車(24.9%),化学製品(16.7%),通信機(14.6%)衣類品等(8.6%),加工トマト (5.5%),履物(5.2%),たばこ(2,8%),魚介類(4.8%),コルク・コルク製品(1.6%)(コルクはポルトガルの特産物であり,我が国 が輸入する天然コルク製品の約5割,天然コルクの約9割はポルトガル産)等。

(2)主要対ポルトガル輸出品目: 乗用自動車(17.1%),自動車部品(15.5%),電気機器(11.1%),バス・トラック(6.4%),鉄鋼(6.3%),ゴム製品(3.4%),原動機(3.4%),精密機器類(3.2%)等。

(出典:財務省貿易統計 2011年)

2.?直接投資:?日本からの対ポルトガル直接投資(フロー)は54億円(2009年),2010年は些少(出典:日本銀行国際収支統計)。日本からポルトガルへの進出企業数は56社。ポルトガルから日本への進出企業数は1社(コルク製品メーカー)(2010年現在)。

3.?ポルトガルを訪問した日本人は2009年で58,400人,我が国を訪問したポルトガル人は2011年で6,227人(2010年,日本政府観光局(JNTO))。

3.文化関係

(1)1993年はポルトガル人の種子島漂着450周年。両国においてこれを記念する多種多彩な文化行事を開催した。また,2003年は在ポルトガル日本大使館を中心に,ポルトガル各地において様々な460周年記念行事が行われた。

(2)海洋をテーマとする「リスボン国際博覧会」が1998年5月より9月まで開催された。我が国政府も日本館を出展し,好評を博した。昭和天皇の貝のコレクションが出典された。

(3)1999年はザビエル来日450周年にあたり,鹿児島県をはじめ日本各地で様々な記念行事が開催された。(ザビエルは,ポルトガル王国の命によりリスボンを出発。)

(4)2010年修好150周年では,能公演,裏千家家元による茶道紹介,和太鼓公演,ポップカルチャー紹介事業,日本映画祭,ジャパンウィーク等多数の日本文化紹介行事が行われた。

(5)姉妹都市交流

レイリア市−徳島市,ポルト市−長崎市,アヴェイロ市−大分市,カスカイス市−熱海市,ヴィラ・ド・ビスポ市−西之表市,シントラ市−大村市,ナザレ市−逗子市(国際友好都市),アブランテス市−人吉市

4.在留邦人数

549人(2012年3月)

5.在日当該国人数

536人(2012年3月)

6.要人往来(2000年以降)

(1)往
年月 要人名
2001年9月 井上参議院議長(公式)
2002年1月 田中外務大臣
2003年8月 綿貫衆議院議長
2004年5月 皇太子殿下
2006年1月 中馬内閣府大臣
2006年3月 山口特派大使(大統領就任式)
2007年4月 北川防衛大臣政務官
2007年8月 松山経済産業大臣政務官
2010年11月 伴野外務副大臣
(2)来
年月 要人名
2000年6月 フェロ・ロドリゲス労働社会保障大臣(小渕前総理葬儀参列)
2002年1月 アマード外務副大臣(アフガン復興支援国際会議)
2003年9月 サントス外務副大臣(TICAD III)
2004年4月 ゴウヴェイア外相(外賓)
2005年5月 サンパイオ大統領夫妻(博覧会賓客)
2006年2月 ピーニョ経済革新大臣
2007年2月 アマード外相(外賓)
2008年3月 ガマ国会議長(参議院招待)
2011年2月 サントス財務相

7.二国間条約・取極

査免協定(1974年),漁業協定(1978年),租税条約署名(2011年)

8.外交使節

(1)ポルトガル駐箚日本国特命全権大使 四宮信隆

(2)本邦駐箚ポルトガル特命全権大使 ジョゼ・デ・フレイタス・フェラース

 

付加価値税税率

名称    :IVA

標準税率  :23%

軽減税率  :13%

軽減税率???  :6%

還付対象品目:企業間取引、駐在員事務所経費

日本企業に対する非居住者付加価値税還付 :可能

標準的な付加価値税還付期間       :6ヶ月〜12ヶ月

 

photo credit: Fr Antunes via photo pin cc

出所:外務省(項目8まで)

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