グローバルとかグローバル化(Globalization)とか言われて久しいです。僕の印象では既に15年ほどは経っているのではないかと思います。
僕はもともと海外の大学で勉強して、その後は大手半導体メーカーの海外営業、日系金融機関の海外現法勤務、フランス系戦略コンサルでの勤務と、僕自身はさほど意識はしていませんが、どちらかというと海外の人とやり取りする仕事が多かったのかなと思っています。
また、現在もコンサルティング会社とデータ関連のビジネスを経営しており、社内外で外国企業や外国の人とビジネスを運営することが多くあります。特に、外国の企業とは100社以上の企業と提携しているため、日常的に外国企業との交流が多くあります。
そのように外国企業とのやりとりが多いなかで、いろいろと悩むことが多くあります。
物理的に離れた場所のパートナー企業とやりとりすると、早朝や真夜中のテレカンをしなくてはいけないといった面倒なこともありますが、それ以上に「考え方」や「仕事のススメ方」が違う場合があります。
例えば、外国の企業の人が考えるビジネスのやり方とは下記のようなビジネスです。
- お客様を訪問せず、テレカンだけで済ませようとする。
- メールなどで絨毯爆撃のように知らない人に営業メールを送る。
- コールドコール(テレアポのこと)をしまくれば、一定の割合で商談に繋がる。
- トップが決断するのではなく、どちらかというと村社会の合議制のような意思決定プロセス。
しかし、日本で仕事をしていると(特に大手企業相手に仕事をしていると)、お客様から「まずは訪問しろ」と言われます。また、営業メールを見ず知らずの人に送ったりテレアポしまくったりすると非常に迷惑に思われるため、商談に繋がる確率は非常に低くなります。
ただ、このような「仕事のやりかたの違い」は相手に説明しないと理解してもらうことが出来ません。逆に言えば、こちら側が相手の仕事のやり方を意識的に学ばないと、なぜ相手が自社に対してこのような態度をとっているかがわからなくなります。
そこで、今回はグローバル・ビジネスの際に、外国企業や外国人とのやり取りの際に役に立つ、2冊の本をご紹介します。これらの本は実際に僕も何回も読み直すような本なので、とてもおすすめです。もし気になったら買ってみて実際に読んでみてくださいね。
異文化理解力(エリン・メイヤー著)
まず1冊目は『異文化理解力』(エリン・メイヤー著)です。著者のエリン・メイヤーさんは、INSEADという世界屈指のMBAスクールの教授であり、アメリカ人です。また旦那さんはフランス人で夫婦でフランスに在住しています。そのようなフランスでの日常生活で感じた文化の違いをきっかけに、国や人種、文化ごとに異なる考え方や動き方についてフォーカスした本です。
日本でも2016年に出版されて、かなり反響がありました。
Amazonのレビューも★4.9と非常に高く、外国人や外国企業とのやり取りで悩む人にとってはまさにMUST READな本だと思います。(Amazonのレビューはこちら)
グローバルリーダーになりうる人は一読の価値有り私は文化の違いはもちろんあることは認識していたが、具体的なところまでイメージできていない人間である私の学びは下記の通り。
・文化差が大きな誤解を生みやすいポイント
・文化差の有無は相対的な差
・多様な文化の混在するチームで働く際、自らが柔軟でさえいれば、いいのではない。差が生じうるポイントをチーム全員で理解をし、チームのルールを全員で決めていくことが重要。その旗振り役をこれからのリーダーはするべき。
・文化差を理解することで、適材適所のタスク付与が可能となり、より強いチーム形成可物事の捉え方、認識の仕方の違いついて更なる理解を促す良書です。
複数人で目的を達成したい時、国家間の文化の違いに限らず、
対人間での認識の違いや捉え方の違いを知ることは、非常に有益です。
というか、むしろ必須であるとさえ感じています。
互いの能力を活かしあう上で大切なことは、先ず他者の"そのような受取り方があるのだ"という視点を持つことであり、
それぞれの受け取り方を尊重し、目的の為に如何に活かしあえるかだと。
と、是非これを読んでハイコンテキストに思う日本人を感じて頂きたいです。
カルチャーマップで各国の人の性格や仕事の進め方が明確に
『異文化理解力』では、カルチャー・マップなる図表が登場します。国際的な環境で働く人は、常に微妙で複雑な文化の差異の影響を受け続けており、しかも、それは私たちが一般的に抱くステレオタイプとは異なるものだと知っておく必要があり、こうした「異文化理解力」を高めるために、著者のメイヤー教授が作成したのが、「カルチャー・マップ」(下チャート)です。
カルチャーマップには8つの指標があります。8つの指標はそれぞれ、コミュニケーション(Communicating)、評価(Evaluating)、説得(Persuading)、リード(Leading)、決断(Deciding)、信頼(Trusting)、見解の相違(Disagreeing)、スケジューリング(Scheduling)という軸があります。その分野内で両極端の特徴のうち、自分と相手の文化がどこに位置するかを考えながら対応することが大事になります。
なお、カルチャーマップ(culture map)で検索すると、この指標がたくさん出てきましたので、下記に貼り付けておきますhttps://forbesjapan.com/articles/detail/16796。
https://forbesjapan.com/articles/detail/16796
- コミュニケーション
- 日本人はハイコンテクストなので、「阿吽(あうん)」「以心伝心」の文化、これは中国も似たり寄ったり。ただし、ドイツなどはきちんと言わないと、または契約書に記載していないとしっくりこない。→日本でビジネスをすると契約書を締結する前から仕事を進めるような動きがありますが、世界ではそれは通用しないということ。
- 決断
- 日本では非常に合意思考であり、反面中国では非常にトップダウン式。→まさに日本でビジネスを行っていると合議的なムラ社会型の合意形成だと毎回思います。
- スケジューリング
- 日本では、直線的な時間、つまり時間が遅れることは問題で、逆に中国やフランスでは「日本ほど遅れることに対して問題とされない。しかし日本以上に時間厳守なのがドイツであることが分かる。
http://www.worldfinancialreview.com/?p=4996
- 日本とイギリス(UK)を比較すると、
- 日本人はハイコンテキストなので阿吽的であり、同じ仲間には「言わずとも分かる」文化だが、英国はローコンテキストなので、きちんと文書化されていないと分からない。
- 日本は相手の問題点を指摘する時、極端にやんわりと指摘するのに対し、英国人はもっと直接的に指摘する。(ただしスウェーデン人ほど直接的ではない)
- 日本や中国では応用優先(Holistic Thinkers)であるが、英国やスウェーデンは原理優先である。
- 時間的な軸については、日本人は時間に厳しいが、英国人やスウェーデン人も同様。
http://www.hrmagazine.co.uk/article-details/how-to-manage-a-global-team
このように、カルチャーマップなる図で様々な国の人の性格や考え方が図式化されているので、非常に勉強になります。当社では世界中の企業(南米・中東除く)と取引をしているので、これら外国企業や外国人の考えを知るために非常に役に立っています。
Global Teams (Jo Owen著)
2冊目は『Global Teams』(Jo Owen著)です。こちらは先日シンガポールに行ったときに本屋で見つけ、その後読破した本です。著者のOwen氏は奥さんが日本の方らしく、またOwen氏自身も日本に長らく住んでいた知日家です。
よって、様々なトピックにちょいちょい日本のことが出てくるので、日本人である僕にとっては分かりやすかったです。(とはいえ文章自体は英語ですが。。)
また、1冊目で紹介した『異文化理解力』が少し学術的であるのに対して、より実践的な内容になっています。
本の概要を列挙すると、
- グローバルな企業で働くことは大変なことである。Global LeaderとGlobal memberは物理的に違う場所にいるだけでなく、異なる文化や考え方等があるので、通常のローカルな環境で働くより大変だ。
- Global Leader(本社側)のみならず、Global member(現法側)のメンバーも、優秀である必要がある。
- Global environmentで働く上で、やはり男性が多くなりがち。その理由はテレカン等が夜や早朝に行われるので、より仕事だけに精を出せる男性が多くなるらしい。
- 信頼関係が大事。お互いを信頼する必要がある。
といったところでしょうか。(手元に本がないので、うろ覚えですが・・)
いずれにせよ、より実践的な内容が書かれていますので、興味のある方は是非読んでみてくださいね。
まとめ
グローバル化を日本企業が進める上で、外国企業や外国人と折衝したり、チームを作ったりします。そのためには相手のことを理解する必要があります。当社でも世界で100社以上の企業と業務提携をしたり、コンサルティングを依頼したり、逆に当社が請け負ったりしています。
今回ご紹介した本はあくまで僕が独断と偏見で選んだ本ですが、グローバルなビジネスの際、相手の外国人とどう接したら一番良いのかということを考えたい方にはおすすめ出来る本です。
もし良かったら是非読んでみてくださいね。